高校数学で,「相加平均と相乗平均の大小関係」というものを学習します.主に不等式の証明や,関数の最大値・最小値を求める問題に利用します.その使い方を理解していても,本質を知らないという方も少なくないでしょう.「相加平均」,「相乗平均」がそれぞれ何なのかを知るだけでも,考え方の幅が広がることがあると思います.
ここでは,そもそも相加平均,相乗平均(相加相乗平均)とはそれぞれ何なのかを解説したいと思います.
相加平均と相乗平均は,どちらも数学における平均の一種で,主にデータの分析に使う値です.
相加平均
まずは相加平均.日常的に使う「平均」という言葉が,この相加平均を指します.
式で表すと次のようになります.
(x_{1},x_{2},\cdots,x_{n}の相加平均)=\frac{x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{n}}{n}
このように,データの総和をデータの個数で割ったものが相加平均です.
データの個数がa,bの2個の場合,相加平均は\frac{a+b}{2}となります.
相乗平均
次に相乗平均.
式で表すと次のようになります.
(x_{1},x_{2},\cdots,x_{n}の相乗平均)=\sqrt[n]{x_{1}x_{2}\cdots x_{n}}
このように,データの個数がn個の場合,データの積のn乗根が相乗平均です.
データの個数がa,bの2個の場合,相乗平均は\sqrt{ab}となります.つまりaとbの積の平方根ということです.
相加平均と相乗平均の大小関係
そして,相加平均と相乗平均の間に次のような関係が成り立つことが知られています.
n個のデータx_{1},x_{2},\cdots,x_{n}がすべて正の数であるとき
\begin{eqnarray*} (相加平均)&\geqq&(相乗平均)\\ \frac{x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{n}}{n}&\geqq&\sqrt[n]{x_{1}x_{2}\cdots x_{n}} \end{eqnarray*}
等号が成り立つのは,x_{1}=x_{2}=\cdots=x_{n}のときである.
\begin{eqnarray*} (相加平均)&\geqq&(相乗平均)\\ \frac{x_{1}+x_{2}+\cdots+x_{n}}{n}&\geqq&\sqrt[n]{x_{1}x_{2}\cdots x_{n}} \end{eqnarray*}
等号が成り立つのは,x_{1}=x_{2}=\cdots=x_{n}のときである.
これが,相加平均と相乗平均の大小関係です.
さらに,データの個数がa,bの2個の場合,次のようになります.
a\gt0,b\gt0のとき
\frac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}
等号が成り立つのは,a=bのときである.
\frac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}
等号が成り立つのは,a=bのときである.
これが,高校数学で主に利用する相加平均と相乗平均の大小関係です.
この不等式はa+b\geqq2\sqrt{ab}の形で使うことが多いです.