漸化式とは
漸化式とは,数列を等式で表したものです.漸化式の問題を解く上で重要なのは,与えられた漸化式がどういう数列を表しているかを判断することです.
ここでは,漸化式を3つの基本パターンに分類し,その漸化式の表す数列がどういう数列かを見抜く方法を説明します.
3つの基本パターン
パターン1 a_{n+1}=a_{n}+d → 公差dの等差数列
例 a_{1}=1,\,a_{n+1}=a_{n}+2\,(n=1,2,3,\cdots)
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
- a_{1}は数列の第1項つまり初項を表す.
- a_{n}は第n項を表し,a_{n+1}は第n+1項を表す.
- n=1,2,3,\cdotsは,nが自然数であることを表す.(通常この表記は省略)
この漸化式は,「第n項に2を足すと第n+1項になる」と読むことができます.nは自然数なので,「第1項に2を足すと第2項になる,第2項に2を足すと第3項になる,第3項に2を足すと第4項になる,・・・」となります.これはまさに公差が2の等差数列を表しています.
よって,求める数列は,初項1,公差2の等差数列なので,
\begin{eqnarray*}a_{n}&=&1+(n-1)\cdot2\\&=&2n-1\end{eqnarray*}
パターン2 a_{n+1}=ra_{n} → 公比rの等比数列
例 a_{1}=2,\,a_{n+1}=3a_{n}
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
この漸化式は,「第n項に3をかけると第n+1項になる」と読むことができます.nは自然数なので,「第1項に3をかけると第2項になる,第2項に3をかけると第3項になる,第3項に3をかけると第4項になる,・・・」となります.これはまさに公比が3の等比数列を表しています.
よって,求める数列は,初項2,公比3の等比数列なので,
a_{n}=2\cdot3^{n-1}
パターン3 a_{n+1}=a_{n}+(nを含む式) → (nを含む式)を階差数列とする数列
例 a_{1}=1,\,a_{n+1}=a_{n}+3n
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
で定義される数列\{a_{n}\}の一般項a_{n}を求めよ.
このパターンは,パターン1では公差となる部分がnを含む式になっていますが,これまでと同じように考えてみます.
この漸化式は,「第n項に3nを足すと第n+1項になる」と読むことができます.nは自然数なので,「第1項に3を足すと第2項になる,第2項に6を足すと第3項になる,第3項に9を足すと第4項になる,・・・」となります.
つまり,この数列の隣り合う2つの項の差は,3,6,9,\cdotsと変化します.これはまさに3nを階差数列とする数列を表しています.
よって,求める数列は,初項が1,階差数列の一般項が3nなので,
n\geqq2のとき,
\begin{eqnarray*}a_{n}&=&1+\sum_{k=1}^{n-1}3k\\&=&1+3\cdot\frac{1}{2}(n-1)n\\&=&\frac{1}{2}(3n^{2}-3n+2)\end{eqnarray*}
この式は,a_{1}=\frac{1}{2}(3\cdot1^{2}-3\cdot1+2)=1となり,n=1のときも成り立つ.
よって,
a_{n}=\frac{1}{2}(3n^{2}-3n+2)