2017/11/24

対数関数を含む方程式の解き方




 対数関数を含む方程式は,対数の性質や底の変換公式を利用して解きます.また,解を求める際に,真数条件や底の条件を確認する必要があります.

 ここでは,いろいろな対数関数を含む方程式の解き方を解説します.




対数(log)の性質と底の変換公式


対数の性質
$M \gt 0$,$N \gt 0$で,$k$を実数とする.

$1$ $\log_{a}MN = \log_{a}M + \log_{a}N$

$2$ $\log_{a}\frac{M}{N} = \log_{a}M - \log_{a}N$

$3$ $\log_{a}M^k = k\log_{a}M$

$4$ $\log_{a}1 = 0$, $\log_{a}a=1$

対数の計算で特に間違えやすいのが,

$\log_{a}M + \log_{a}N = \log_{a}(M+N)$

としてしまうことです.

このように,$\log_{a}$でくくるというような計算はできません.



底の変換公式
$a$,$b$,$c$は正の数で,$a\neq 1$,$c\neq 1$とするとき

$\log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}$

底の変換公式を使えば,対数を,任意の底を使って表現することができます.




真数条件と底の条件


対数 $\log_{a}M$ について

真数条件
$M \gt 0$

底の条件
$a \gt 0$,$a \neq 1$
(もしくは$0 \lt a \lt 1$,$1 \lt a$)

真数条件は,真数は正とするというものです.


底の条件は,底は$1$以外の正の数とするというものです.

$0 \lt a \lt 1$,$1 \lt a$

この形のほうが,不等式の計算がしやすいと思います.




例題と計算方法の解説


次の方程式を解け.
$(1)$ $\log_{2}{x} = 3$

$(2)$ $\log_{3}x + \log_{3}(x-8) = 2$

$(3)$ $\log_{4}(x+3) + \log_{\frac{1}{2}}x = 1$

$(4)$ $(\log_{2}x)^2 - \log_{2}x^2 - 8 = 0$

$(5)$ $\log_{x}\frac{1}{4} = -2$

$(1)$ $\log_{2}{x} = 3$

(解法1)

左辺$\log_{2}x$は,$x$に何を入れたら$3$になるか考える.

$x$に$2^3$を入れると,

$\log_{2}2^3 = 3\log_{2}2 = 3\cdot 1 = 3$

となるので,

$x = 2^3 = 8$


(解法2)

右辺に$\log_{2}2$ $(=1)$をかける.

$\begin{eqnarray*} \log_{2}{x} &=& 3\log_{2}2 \\ &=& \log_{2}2^3 \\ &=& \log_{2}8 \\ x &=& 8 \end{eqnarray*}$




$(2)$ $\log_{3}x + \log_{3}(x-8) = 2$

まず,この方程式を見て考えるべきことは,

「真数に変数$x$が含まれているから$x$と$x-8$に真数条件を使おう」

「$\log_{3}x$と$\log_{3}(x-8)$は底が同じなので対数の性質を使えば一つにまとめられる」

「左辺を一つの対数にまとめられれば,$(1)$の問題と同様の解き方ができる」

といったことです.

ある程度,解を導く見通しが立ったので,実際に解いていきます.


真数条件より,

$x \gt 0$ かつ $x-8 \gt 0$
$x \gt 0$ かつ $x \gt 8$

すなわち,

$x \gt 8$

左辺に,対数の性質

$\log_{a}MN = \log_{a}M + \log_{a}N$

を使うと,

$\log_{3}x(x-8) = 2$

$(1)$の問題と同様に解くと,

$x(x-8) = 3^2$

あとはこの2次方程式を解きます.

$x^2 - 8x - 9 = 0\\ (x+1)(x-9) = 0\\ x = -1,\ 9$

$x \gt 8$より,

$x=9$




$(3)$ $\log_{4}(x+3) + \log_{\frac{1}{2}}x = 1$

まず,この問題を見て考えるべきことは,

「真数に変数$x$が含まれているから$x+3$と$x$に真数条件を使おう」

「底の異なる対数が2つあるので,底の変換公式を使って底を同じにしたい」

「左辺を一つの対数にまとめられれば,$(1)$の問題と同様の解き方ができる」

といったことです.


真数条件より,

$x + 3 \gt 0$ かつ $x \gt 0$
$x \gt -3$ かつ $x \gt 0$

すなわち,

$x \gt 0$

式中の底$4$と$\frac{1}{2}$はどちらも$2$の累乗なので,底の変換公式を使って底を$2$に変換するとうまくいきます.

$\frac{\log_{2}(x+3)}{\log_{2}4} + \frac{\log_{2}x}{\log_{2}\frac{1}{2}} = 1\\ \frac{\log_{2}(x+3)}{\log_{2}\style{color: red;}{2^2}} + \frac{\log_{2}x}{\log_{2}\style{color: red;}{2^{-1}}} = 1\\ \frac{\log_{2}(x+3)}{2} + \frac{\log_{2}x}{-1} = 1$

両辺を$2$倍して,

$\log_{2}(x+3) - 2\log_{2}x = 2\\ \log_{2}(x+3) - \log_{2}x^2 = 2$

左辺に,対数の性質

$\log_{a}\frac{M}{N} = \log_{a}M - \log_{a}N$

を使うと,

$\log_{2}\frac{x+3}{x^2} = 2\\ \frac{x+3}{x^2} = 2^2\\ x + 3 = 4x^2\\ 4x^2 - x -3 = 0\\ (4x+3)(x-1) = 0\\ x = -\frac{3}{4},\ 1$

$x \gt 0$より,

$x = 1$




$(4)$ $(\log_{2}x)^2 - \log_{2}x^2 - 8 = 0$

この方程式は,$(\log_{2}x)^2$と$\log_{2}x^2$の違いに注意して解きます.


真数条件より,

$x \gt 0$ かつ $x^2 \gt 0$

すなわち,

$x \gt 0$

$(\log_{2}x)^2 - \log_{2}x^\style{color: red;}{2} - 8 = 0\\ (\log_{2}x)^2 - \style{color: red;}{2}\log_{2}x - 8 = 0$

この方程式は,$\log_{2}x$に関する2次方程式と見ることができます.

$(\style{color: red;}{\log_{2}x})^2 - 2\style{color: red;}{\log_{2}x} - 8 = 0\\ (\style{color: red;}{\log_{2}x} + 2)(\style{color: red;}{\log_{2}x} - 4) = 0\\ \log_{2}x = -2,\ 4\\ x = 2^{-2},\ 2^4\\ x = \frac{1}{4},\ 16$

これらは,$x \gt 0$を満たす.




$(5)$ $\log_{x}\frac{1}{4} = -2$

この方程式は,底に変数$x$があるので,底の条件を使います.


底の条件より,

$0 \lt x \lt 1$,$1 \lt x$


(解法1)

左辺$\log_{x}\frac{1}{4}$は,$\frac{1}{4}$が$x^{-2}$であれば,$-2$になるので,

($\log_{x}x^{-2} = -2\log_{x}x = -2\cdot 1 = -2$)

$\begin{eqnarray*} x^{-2} &=& \frac{1}{4}\\ \frac{1}{x^2} &=& \frac{1}{4}\\ x^2 &=& 4\\ x &=& \pm 2 \end{eqnarray*}$

$0 \lt x \lt 1$,$1 \lt x$より,

$x = 2$


(解法2)

右辺に$\log_{x}x$ $(=1)$をかけると,

$\begin{eqnarray*} \log_{x}\frac{1}{4} &=& -2\log_{x}x\\ &=& \log_{x}x^{-2}\\ \frac{1}{4} &=& x^{-2}\\ \frac{1}{x^2} &=& \frac{1}{4}\\ x^2 &=& 4\\ x &=& \pm 2 \end{eqnarray*}$

$0 \lt x \lt 1$,$1 \lt x$より,

$x = 2$