2017/08/03

平方根のおよその値の求め方とその利用




 平方根(ルート)は,例えば「$\sqrt{2}$は$2$乗して$2$になる数だから$1.4$くらい」といった,およその値(近似値)を考えることができます.

 ここでは,平方根のおよその値の求め方を解説し,その利用例を紹介します.




整数部分と小数部分の求め方


まず,以下のように平方根が整数になる数を把握する必要があります.

$\begin{eqnarray*} \sqrt{1}&=&1\\ \sqrt{4}&=&2\\ \sqrt{9}&=&3\\ \sqrt{16}&=&4\\ \sqrt{25}&=&5\\ \sqrt{36}&=&6\\ &\vdots& \end{eqnarray*}$



例えば,

$\sqrt{13}$は,不等式で表現すると,

$\sqrt{9}\lt\sqrt{13}\lt\sqrt{16}\\ 3\lt\sqrt{13}\lt4$

と書けます.

$\sqrt{13}$は$3$より大きく$4$より小さい数ということなので,

$\sqrt{13}=3.\cdots$

となります.つまり,$\sqrt{13}$の整数部分は$3$ということです.

また,$\sqrt{13}=3.\cdots$の小数部分$0.\cdots$は,
$\sqrt{13}$から,整数部分である$3$を引けばよいので,

$\sqrt{13}-3$と表されます.





例題と解説


例1 $\frac{1}{3-\sqrt{5}}$の整数部分を$a$,小数部分を$b$とするとき,$a$,$b$の値をそれぞれ求めよ.

まず,$\frac{1}{3-\sqrt{5}}$の分母を有理化します.

$\begin{eqnarray*} \frac{1}{3-\sqrt{5}}&=&\frac{3+\sqrt{5}}{(3-\sqrt{5})(3+\sqrt{5})}\\ &=&\frac{3+\sqrt{5}}{4} \end{eqnarray*}$


先に,$\frac{3+\sqrt{5}}{4}$の整数部分$a$を求めます.

$\sqrt{4}\lt\sqrt{5}\lt\sqrt{9}\\ 2\lt\sqrt{5}\lt3$

各辺に$3$を加えて,

$5\lt3+\sqrt{5}\lt6$

各辺を$4$で割って,

$\frac{5}{4}\lt\frac{3+\sqrt{5}}{4}\lt\frac{3}{2}\\ 1.25\lt\frac{3+\sqrt{5}}{4}\lt1.5$

$1.25$より大きく$1.5$より小さいということは,$\frac{3+\sqrt{5}}{4}=1.\cdots$となり,整数部分$a$は,

$a=1$


次に,小数部分$b$を求めます.

$\frac{3+\sqrt{5}}{4}=1.\cdots$の小数部分$0.\cdots$は,
$\frac{3+\sqrt{5}}{4}$から,整数部分である$1$を引けばよいので,

$\begin{eqnarray*} b&=&\frac{3+\sqrt{5}}{4}-1\\ &=&\frac{\sqrt{5}-1}{4} \end{eqnarray*}$



例2 $3\lt x\lt 5+3\sqrt{7}$を満たす整数$x$をすべて求めよ.

この問題を解くには,$5+3\sqrt{7}$のおよその値を求めておく必要があります.

$3\sqrt{7}=\sqrt{63}$(正確な整数部分を求めるために,この変形は必須です.)

$\sqrt{49}\lt \sqrt{63}\lt \sqrt{64}\\ 7\lt \sqrt{63}\lt 8\\ 12\lt 5+\sqrt{63}\lt 13$

よって,$5+3\sqrt{7}=12.\cdots$となります.

$3\lt x\lt 12.\cdots$より,
$x$は,$3$より大きく$12.\cdots$より小さい整数なので,

$x=4,5,6,7,8,9,10,11,12$($12$を含み,$3$を含まないのが重要です.)