平方根(ルート)は,例えば「\sqrt{2}は2乗して2になる数だから1.4くらい」といった,およその値(近似値)を考えることができます.
ここでは,平方根のおよその値の求め方を解説し,その利用例を紹介します.
整数部分と小数部分の求め方
まず,以下のように平方根が整数になる数を把握する必要があります.
\begin{eqnarray*} \sqrt{1}&=&1\\ \sqrt{4}&=&2\\ \sqrt{9}&=&3\\ \sqrt{16}&=&4\\ \sqrt{25}&=&5\\ \sqrt{36}&=&6\\ &\vdots& \end{eqnarray*}
例えば,
\sqrt{13}は,不等式で表現すると,
\sqrt{9}\lt\sqrt{13}\lt\sqrt{16}\\ 3\lt\sqrt{13}\lt4
と書けます.
\sqrt{13}は3より大きく4より小さい数ということなので,
\sqrt{13}=3.\cdots
となります.つまり,\sqrt{13}の整数部分は3ということです.
また,\sqrt{13}=3.\cdotsの小数部分0.\cdotsは,
\sqrt{13}から,整数部分である3を引けばよいので,
\sqrt{13}-3と表されます.
例題と解説
例1 \frac{1}{3-\sqrt{5}}の整数部分をa,小数部分をbとするとき,a,bの値をそれぞれ求めよ.
まず,\frac{1}{3-\sqrt{5}}の分母を有理化します.
\begin{eqnarray*} \frac{1}{3-\sqrt{5}}&=&\frac{3+\sqrt{5}}{(3-\sqrt{5})(3+\sqrt{5})}\\ &=&\frac{3+\sqrt{5}}{4} \end{eqnarray*}
先に,\frac{3+\sqrt{5}}{4}の整数部分aを求めます.
\sqrt{4}\lt\sqrt{5}\lt\sqrt{9}\\ 2\lt\sqrt{5}\lt3
各辺に3を加えて,
5\lt3+\sqrt{5}\lt6
各辺を4で割って,
\frac{5}{4}\lt\frac{3+\sqrt{5}}{4}\lt\frac{3}{2}\\ 1.25\lt\frac{3+\sqrt{5}}{4}\lt1.5
1.25より大きく1.5より小さいということは,\frac{3+\sqrt{5}}{4}=1.\cdotsとなり,整数部分aは,
a=1
次に,小数部分bを求めます.
\frac{3+\sqrt{5}}{4}=1.\cdotsの小数部分0.\cdotsは,
\frac{3+\sqrt{5}}{4}から,整数部分である1を引けばよいので,
\begin{eqnarray*} b&=&\frac{3+\sqrt{5}}{4}-1\\ &=&\frac{\sqrt{5}-1}{4} \end{eqnarray*}
例2 3\lt x\lt 5+3\sqrt{7}を満たす整数xをすべて求めよ.
この問題を解くには,5+3\sqrt{7}のおよその値を求めておく必要があります.
3\sqrt{7}=\sqrt{63}(正確な整数部分を求めるために,この変形は必須です.)
\sqrt{49}\lt \sqrt{63}\lt \sqrt{64}\\ 7\lt \sqrt{63}\lt 8\\ 12\lt 5+\sqrt{63}\lt 13
よって,5+3\sqrt{7}=12.\cdotsとなります.
3\lt x\lt 12.\cdotsより,
xは,3より大きく12.\cdotsより小さい整数なので,
x=4,5,6,7,8,9,10,11,12(12を含み,3を含まないのが重要です.)