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2017/09/03

不等号の向きを間違えやすい不等式の計算まとめ




不等号の向きが変わるとき


 不等式の計算をするときは,不等号の向きに注意する必要があります.特に,負の数をかけるときや負の数で割るときは,不等号の向きを逆にするのを忘れないようにしなければなりません.

 不等式の計算で,不等号の向きに注意しなければならないことは知っていても,それに気づきにくいものがあります.ここでは,そういった不等号の向きを間違えやすい不等式の計算をまとめます.





例題と解説


根号を含む式で割るとき


例1 不等式3x\gt 2+2\sqrt{3}xを解け.

3x\gt 2+2\sqrt{3}x\\ 3x-2\sqrt{3}x\gt 2\\ (3-2\sqrt{3})x\gt 2

ここまでは通常の1次不等式の計算で,このように変形したとします.

次に,両辺を3-2\sqrt{3}で割りますが,

x\gt \frac{2}{3-2\sqrt{3}}

とするのは間違いです.


それは,3-2\sqrt{3}が負の数であるからです.

\sqrt{9}\lt \sqrt{12}\lt \sqrt{16}\\ 3\lt 2\sqrt{3}\lt 4

2\sqrt{3}3より大きいので,3-2\sqrt{3}は負になります.

平方根のおよその値の求め方については,下記を参照してください.


平方根のおよその値の求め方とその利用


よって,正しい計算は,不等号の向きを逆にして,

x\style{color: red;}{\lt} \frac{2}{3-2\sqrt{3}}

となります.

3-2\sqrt{3}のように,根号を含む式で割るときは,一見注意する必要がないように見えて,実は正負を確認しなければならないので間違えやすいです.

x\lt \frac{2}{3-2\sqrt{3}}\\ x\lt \frac{2(3+2\sqrt{3})}{9-12}\\ x\lt -\frac{2}{3}(3+2\sqrt{3})\\ x\gt \frac{2}{3}(3+2\sqrt{3})





負の文字で割るとき


例2 aを負の定数とする.不等式ax\gt 2を解け.

ax\gt 2

この不等式を解くには両辺をaで割るだけでいいですが,

x\gt \frac{2}{a}

とするのは間違いです.


この問題では,aを負の定数としているので,両辺をaで割るときに不等号の向きを逆にしなければなりません.

よって,正しい計算は,

x\style{color: red;}{\lt} \frac{2}{a}

となります.

この問題は単純なものにしたので気づきやすいですが,不等式の計算で文字をかけるときや文字で割るときは,常にその文字の正負を問題文から確認しておくことが重要です.





割る文字の正負で場合分けが必要なとき


例3 aを定数とする.不等式ax-a^{2}\gt 2x-4を解け.

ax-a^{2}\gt 2x-4\\ ax-2x\gt a^{2}-4\\ (a-2)x\gt (a+2)(a-2)

ここまでは,通常の1次不等式の計算です.

次に,両辺をa-2で割りますが,

x\gt a+2

として終わってはいけません.


この問題では,aを単に定数としているだけなので,a-2aの値によって正にも負にも0にもなります.
よって,aで場合分けをしなければなりません.


\rm(\hspace{.18em}i\hspace{.18em}) a-2\gt 0 すなわち,a\gt 2のとき

 不等式の両辺を正の数で割ることになるので,不等号の向きはそのままです.

 x\gt a+2

\rm(\hspace{.08em}ii\hspace{.08em}) a-2=0 すならち,a=2のとき

 0\cdot x\gt (a+2)\cdot 0となり,不適.

\rm(i\hspace{-.08em}i\hspace{-.08em}i) a-2\lt 0 すなわち,a\lt 2のとき

 不等式の両辺を負の数で割ることになるので,不等号の向きを逆にします.

 x\style{color: red;}{\lt} a+2

\rm(\hspace{.18em}i\hspace{.18em})\rm(i\hspace{-.08em}i\hspace{-.08em}i)より,

\left\{ \begin{array}{l} a\gt 2のとき,x\gt a+2 \\ a=0のとき,解なし \\ a\lt 2のとき,x\lt a+2 \end{array} \right.