2017/11/03

等比数列の和の公式を利用するΣ(シグマ)の計算方法を解説




 和の記号Σ(シグマ)を用いると,いろいろな数列の和を表現することができます.Σで表された数列の和は,Σの性質や和の公式を利用して計算します.

 ここでは,Σで表された数列の和を等比数列の和の公式を利用して計算する方法を解説します.




和の記号Σ(シグマ)の意味


まず,和の記号Σの意味を確認しておきます.

$\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } a_k = a_1 + a_2 + a_3 + \cdots \cdots + a_n$

このように,$\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } a_k$と書けば,それは数列${a_n}$の第$1$項から第$n$項までの和を表します.




等比数列の和の公式と重要ポイント


等比数列の和の公式も確認しておきます.

初項$a$,公比$r$の等比数列の初項から第$n$項までの和$S_n$は
$r\neq 1$のとき $S_n = \frac{a(1-r^n)}{1-r}$ または $S_n = \frac{a(r^n-1)}{r-1}$
($r = 1$のとき $S_n = na$)

等比数列の和の公式で重要なのは,等比数列の和は,等比数列の初項公比項数がわかれば計算できるということです.




例題と計算方法の解説


例題を使って,等比数列の和の公式を利用するΣ(シグマ)の計算方法を解説します.




次の和を求めよ.
$(1)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k}$   $(2)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k-1}$

$(3)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k}$   $(4)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k+1}$

$(5)$ $\displaystyle \sum_{k=2}^{n} 5^{k}$   $(6)$ $\displaystyle \sum_{k=2}^{6} 2^{k}$

$(7)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{1-k}$

この手の問題は,$a_1 + a_2 + a_3 + \cdots$のような和の形で書き出し,等比数列の初項,公比,項数を確認することで,確実に解くことができます.

$(1)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k} = 2^1 + 2^2 + 2^3 + \cdots$

よって,求める和は,初項$2$,公比$2$,項数$n$($1$から$n$までの$n$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k} = \frac{2(2^n-1)}{2-1} = 2^{n+1}-2$




$(2)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k-1} = 2^0 + 2^1 + 2^2 + \cdots$

よって,求める和は,初項$1$,公比$2$,項数$n$($1$から$n$までの$n$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{k-1} = \frac{1\cdot (2^n-1)}{2-1} = 2^n-1$




$(3)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k} = 3^1 + 3^2 + 3^3 + \cdots$

よって,求める和は,初項$3$,公比$3$,項数$n-1$($1$から$n-1$までの$n-1$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k} = \frac{3(3^{n-1}-1)}{3-1} = \frac{3^n-3}{2}$




$(4)$ $\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k+1} = 3^2 + 3^3 + 3^4 + \cdots$

よって,求める和は,初項$9$,公比$3$,項数$n-1$($1$から$n-1$までの$n-1$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} 3^{k+1} = \frac{9(3^{n-1}-1)}{3-1} = \frac{3^{n+1}-9}{2}$




$(5)$ $\displaystyle \sum_{k=2}^{n} 5^{k} = 5^2 + 5^3 + 5^4 + \cdots$

よって,求める和は,初項$25$,公比$5$,項数$n-1$($2$から$n$までの$n-1$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=2}^{n} 5^{k} = \frac{25(5^{n-1}-1)}{5-1} = \frac{5^{n+1}-25}{4}$




$(6)$ $\displaystyle \sum_{k=2}^{6} 2^{k} = 2^2 + 2^3 + 2^4 + \cdots$

よって,求める和は,初項$4$,公比$2$,項数$5$($2$から$6$までの$5$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=2}^{6} 2^{k} = \frac{4(2^5-1)}{2-1} = 2^7-4 = 128-4 = 124$




$\begin{eqnarray*} (7) \displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{1-k} &=& 2^0 + 2^{-1} + 2^{-2} + \cdots\\ &=& 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{4} + \cdots\end{eqnarray*}$

よって,求める和は,初項$1$,公比$\frac{1}{2}$,項数$n$($1$から$n$までの$n$個)の等比数列の和であるので,

$\displaystyle \sum_{k=1}^{n} 2^{1-k} = \frac{1\cdot\{1-(\frac{1}{2})^n\}}{1-\frac{1}{2}} = 2(1-\frac{1}{2^n}) = 2-2^{1-n}$