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2017/11/28

対数関数を含む不等式の解き方




 対数関数を含む不等式は,対数の性質や底の変換公式を利用して解きます.また,解を求める際に,真数条件や底の条件を確認する必要があります.

 方程式と違い,不等式を解くときは,底の大きさが1より大きいか小さいかで計算が異なるので,注意が必要です.

 ここでは,いろいろな対数関数を含む不等式の解き方を解説します.




対数(log)の性質と底の変換公式


対数の性質
M \gt 0N \gt 0で,kを実数とする.

1 \log_{a}MN = \log_{a}M + \log_{a}N

2 \log_{a}\frac{M}{N} = \log_{a}M - \log_{a}N

3 \log_{a}M^k = k\log_{a}M

4 \log_{a}1 = 0, \log_{a}a=1

対数の計算で特に間違えやすいのが,

\log_{a}M + \log_{a}N = \log_{a}(M+N)

としてしまうことです.

このように,\log_{a}でくくるというような計算はできません.



底の変換公式
abcは正の数で,a\neq 1c\neq 1とするとき

\log_{a}b = \frac{\log_{c}b}{\log_{c}a}

底の変換公式を使えば,対数を,任意の底を使って表現することができます.




真数条件と底の条件


対数 \log_{a}M について

真数条件
M \gt 0

底の条件
a \gt 0a \neq 1
(もしくは0 \lt a \lt 11 \lt a

真数条件は,真数は正とするというものです.


底の条件は,底は1以外の正の数とするというものです.

0 \lt a \lt 11 \lt a

この形のほうが,不等式の計算がしやすいと思います.




例題と計算方法の解説


次の不等式を解け.
(1) \log_{2}{x} \leqq 3

(2) \log_{\frac{1}{3}}x \gt 2

(3) \log_{\frac{1}{2}}(x-1) \gt \log_{2}(x+1)

(4) (\log_{\frac{1}{2}}x)^2 - \log_{\frac{1}{2}}x - 2 \gt 0

(5) \log_{a}(x-1) \gt \log_{a}(3x+5)

(1) \log_{2}{x} \leqq 3

真数条件より,

x \gt 0 \quad \cdots ①


右辺の 3 を,左辺と同様の 2 を底とする対数 \log_{2}2^3 にして解きます.

\log_{2}{x} \leqq \log_{2}2^3\\ x \leqq 2^3\\ x \leqq 8 \quad \cdots ②

(底 21 より大きいので,不等号の向きは変わりません.)


①,②より,

0 \lt x \leqq 8




(2) \log_{\frac{1}{3}}x \gt 2

真数条件より,

x \gt 0 \quad \cdots ①


右辺の 2 を,左辺と同様の \frac{1}{3} を底とする対数 \log_{\frac{1}{3}}(\frac{1}{3})^2 にして解きます.

\log_{\frac{1}{3}}x \gt \log_{\frac{1}{3}}(\frac{1}{3})^2\\ x \style{color: red;}{\lt} (\frac{1}{3})^2\\ x \lt \frac{1}{9} \quad \cdots ②

(底 \frac{1}{3}1 より小さいので,不等号の向きが変わります.)


①,②より,

0 \lt x \lt \frac{1}{9}




(3) \log_{\frac{1}{2}}(x-1) \gt \log_{2}(x+1)

真数条件より,

x-1 \gt 0 かつ x+1 \gt 0
x \gt 1 かつ x \gt -1

すなわち,

x \gt 1 \quad \cdots ①


左辺の \log_{\frac{1}{2}}(x-1) に底の変換公式を適用して,右辺と同様の 2 を底とする対数にします.

\frac{\log_{\style{color: red;}{2}}(x-1)}{\log_{\style{color: red;}{2}}\frac{1}{2}} \gt \log_{\style{color: red;}{2}}(x+1)\\ \frac{\log_{2}(x-1)}{\log_{2}2^{-1}} \gt \log_{2}(x+1)\\ -\log_{2}(x-1) \gt \log_{2}(x+1)\\ \log_{2}(x+1) + \log_{2}(x-1) \lt 0

左辺に,対数の性質

\log_{a}MN = \log_{a}M + \log_{a}N

を使うと,

\log_{2}(x+1)(x-1) \lt 0\\ \log_{2}(x+1)(x-1) \lt \log_{2}1\\ (x+1)(x-1) \lt 1

(底 21 より大きいので,不等号の向きは変わりません.)

x^2 - 1 \lt 1\\ x^2 - 2 \lt 0\\ (x + \sqrt{2})(x - \sqrt{2}) \lt 0\\ -\sqrt{2} \lt x \lt \sqrt{2} \quad \cdots ②


①,②より,

1 \lt x \lt \sqrt{2}




(4) (\log_{\frac{1}{2}}x)^2 - \log_{\frac{1}{2}}x - 2 \gt 0

真数条件より,

x \gt 0 \quad \cdots ①


この不等式は, \log_{\frac{1}{2}}x に関する2次不等式と見ることができます.

(\style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x})^2 - \style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x} - 2 \gt 0\\ (\style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x} + 1)(\style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x} - 2) \gt 0\\ \style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x} \lt -1,\ 2 \lt \style{color: red;}{\log_{\frac{1}{2}}x}


\log_{\frac{1}{2}}x \lt -1 のとき,

\log_{\frac{1}{2}}x \lt \log_{\frac{1}{2}}(\frac{1}{2})^{-1}\\ x \style{color: red;}{\gt} (\frac{1}{2})^{-1}

(底 \frac{1}{2}1 より小さいので,不等号の向きが変わります.)

x \gt 2


2 \lt \log_{\frac{1}{2}}x のとき,

\log_{\frac{1}{2}}(\frac{1}{2})^2 \lt \log_{\frac{1}{2}}x\\ (\frac{1}{2})^2 \style{color: red;}{\gt} x

(底 \frac{1}{2}1 より小さいので,不等号の向きが変わります.)

\frac{1}{4} \gt x


よって,

x \lt \frac{1}{4},\ 2 \lt x \quad \cdots ②


①,②より,

0 \lt x \lt \frac{1}{4},\ 2 \lt x




(5) \log_{a}(x-1) \gt \log_{a}(3x+5)

真数条件より,

x-1 \gt 0 かつ 3x+5 \gt 0
x \gt 1 かつ x \gt -\frac{5}{3}

すなわち,

x \gt 1 \quad \cdots ①


この不等式は,対数の底が a という文字になっています.

この問題では,a の値に制限がないので,底の条件を満たすすべての値に対して解かなければなりません.


0 \lt a \lt 1 のときは不等号の向きが変わり,

a \gt 1 のときは不等号の向きは変わりません.

これら2つの場合で計算が異なるので,場合分けをします.


0 \lt a \lt 1 のとき

\log_{a}(x-1) \gt \log_{a}(3x+5)\\ x-1 \style{color: red;}{\lt} 3x+5\\ 2x \gt -6\\ x \gt -3 \quad \cdots ②

①,②より,

x \gt 1


a \gt 1 のとき,

\log_{a}(x-1) \gt \log_{a}(3x+5)\\ x-1 \gt 3x+5\\ 2x \lt -6\\ x \lt -3 \quad \cdots ③

①,③より,

解なし


よって,

0 \lt a \lt 1 のとき, x \gt 1
a \gt 1 のとき, 解なし